第37巻第7号目次 | Japanese/English |
─ 症例 ─
切除時縦隔リンパ節転移がありながら長期無再発生存中の小児肺腺癌の1例
澤藤 誠, 松隈 治久, 横井 香平, 井村 譲二*, 宮沢 直人**栃木県立がんセンター呼吸器外科, *同 病理, **平塚市民病院外科
15歳女子の原発性肺癌の1例を経験した.学校検診にて胸部X線写真上,左下肺野に異常影を指摘され,気管支鏡検査により腺癌と診断された.左肺癌の診断で1989年8月左下葉切除および縦隔リンパ節郭清を施行した.病理学的に気管分岐部リンパ節転移を認め,中分化型腺癌,pT1N2M0,Stage IIIAと診断された.術後補助療法は行わず経過を観察しているが術後8年の現在無再発生存中である.気管支腺由来の腫瘍を除いた小児肺癌は診断が難しく,低分化なものが多いことなどから予後不良といわれているが,本邦の5年以上の長期生存例の報告は本例を含め5例で,そのうち縦隔リンパ節転移が明らかであった症例は本例が初めてであった.
索引用語:Primary lung cancer in childhood, Primary lung cancer in adolescence, Adenocarcinoma, Mediastinal lymph node metastasis
受付日:1997年9月10日
受理日:1997年10月28日
肺癌 37 (7):1047─1051,1997