タイトル
第38巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

1年以上経過観察が可能であった肺野型肺腺癌のCT像の検討

粟井 和夫1, 藤川 光一2, 中村 進3, 山根 浩介4, 西阪 隆5, 武島 幸男5, 立山 義朗6, 伊藤 勝陽1
1広島大学放射線科, 2広島総合病院画像診断部, 3誠友会セントラルクリニック, 4吉島病院放射線科, 5広島大学第2病理, 6広島市民病院病理

1年以上CTによる経過観察が行われた肺野型肺腺癌について,retrospectiveに発育形態の検討を行った.対象は,1年以上経過観察が行われた肺腺癌5症例で,組織型は高分化乳頭腺癌3症例,高ないし中分化乳頭腺癌1症例,低分化腺癌1症例である.腫瘤影のdoubling time は,高~中分化乳頭腺癌の4症例では14.8~36.8月で,低分化腺癌の1例では10.0月であった.高ないし中分化乳頭腺癌の3症例で,腫瘤影の大きさがほとんど変化していないのにもかかわらず胸膜または血管の巻き込みが増強する時相が存在した. また全症例で腫瘤内部にair bronchogramが認められ,内3例では経過中にair bronchogramは狭小化あるいは消失した.確定診断のついていない孤立性肺結節をCTなどにより経過観察を行う際は,以上に述べたような腺癌の発育様式を念頭に置く必要がある.
索引用語:Peripheral lung cancer, Adenocarcinoma, CT

受付日:1997年8月7日
受理日:1997年12月9日

肺癌 38 (1):19─28,1998

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