タイトル
第38巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

嚢胞状所見を呈した悪性胸膜中皮腫の1例

山口 和之, 内藤 伸介, 野村 繁雄
兵庫県立尼崎病院内科

症例は77歳の女性.1995年4月頃より持続する咳嗽にて当院を受診,胸部単純X線,胸部造影CTでは右側に中等量の胸水を伴い,縦隔には辺縁が造影されるとともに内部が不均一に造影される一部嚢胞状腫瘤と右側背側胸壁に基部を持つ半円型のよく造影される腫瘤を認めた.気管は縦隔の腫瘤により高度に圧迫をうけていた.胸水穿刺および背側の腫瘤に対して経皮的生検を行った.病理学的免疫組織化学的検索では腫瘍は上皮様構造と肉腫様構造を呈する部分を認め,ヒアルロニダーゼ消化試験陽性,CEA陰性,ケラチン陽性であった.以上の画像ならびに病理学的,組織化学的,免疫組織学的所見より,びまん性悪性胸膜中皮腫(biphasic type)と診断した.本症例ではCT上右側胸壁に半球形の腫瘤病変を認め,縦隔には嚢胞状腫瘤が認められる特異な所見を示した.
索引用語:Malignant pleural mesothelioma, Cyst, Mediastinum, High resolution CT, Hyaluronic acid

受付日:1997年8月18日
受理日:1997年12月19日

肺癌 38 (1):43─48,1998

ページの先頭へ