タイトル
第38巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

サルコイド様反応による著名な縦隔リンパ節腫大を呈した肺腺癌の1切除例

金藤 睦実, 山田 耕三, 尾下 文浩, 野田 和正, 田尻 道彦, 亀田 陽一**
神奈川県立がんセンター内科第3科, 同 外科第1科, **同 検査第1科

患者は49歳の女性である.胸部X線写真上において右上肺野に約20 mm大の腫瘤影と縦隔リンパ節腫脹を指摘され,当科を受診した.精査の結果,CT画像での縦隔リンパ節腫大を認め,臨床病期IIIA期(C-T1N2M0)の肺腺癌の術前診断のもとに右上葉切除術を施行した.病理組織では腫大したリンパ節には癌の転移はなく,すべて壊死を伴わない類上皮細胞を含む肉芽腫であった.臨床的にはサルコイドーシスを示唆する所見はなく,リンパ節にサルコイド様反応を呈した肺腺癌症例であると考えられた.以上,画像的には進行肺癌と判断したが,病理学的には腫大した縦隔リンパ節は反応性のものであり,現状の画像診断の限界を示した例と考えられた.
索引用語:Sarcoid-like reaction, Lung cancer, Mediastinal lymph nodes, Staging

受付日:1997年9月24日
受理日:1997年12月1日

肺癌 38 (1):57─62,1998

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