タイトル
第38巻第2号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

線維化巣のほとんどない肺野末梢型細気管支肺胞型腺癌切除例の検討―積極的縮小手術の可能性について―

大和 靖, 相馬 孝博, 吉谷 克雄, 土田 正則, 青木 正, 渡辺 健寛, 橋本 毅久, 林 純一, 江村 巌
新潟大学第2外科, 新潟大学医学部附属病院病理部

肺野末梢型肺癌のうち腫瘍内に線維化巣や浸潤性増殖のほとんどみられない細気管支肺胞型腺癌28例を検討した.男性9例,女性19例,平均年齢は64.7歳で,術式は肺葉切除が24例,部分切除が4例であった.腫瘍最大径は12~35 mm(平均21.9 mm)であった.病理組織所見では,腫瘍細胞は肺胞壁に沿って増殖し胸膜や小葉間結合織に浸潤性でなく,線維化はほとんどないか軽度であった.リンパ節転移,肺内転移及び脈管侵襲は認めず,再発例は1例もなく,26例が無再発生存し,うち17例は5年以上生存している.死亡例は2例で,いずれも他病死であった.絶非例を除いた5年生存率は90.1%で,同時期で本腺癌を除いたI期腺癌96例の5年生存率77.3%と比較すると有意差はなかったが,本腺癌の予後は極めて良好であった.本腺癌は真の意味での末梢型早期肺癌と考えられ,術中迅速組織診断で診断がつけば縮小手術の適応になり得ると考えられた.
索引用語:Bronchiolo-alveolar type adenocarcinoma, Early lung cancer, Limited pulmonary resection

受付日:1997年12月12日
受理日:1998年3月2日

肺癌 38 (2):109─115,1998

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