タイトル
第38巻第2号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

胸膜原発のSolitary Fibrous Tumor 6例の病理組織学的及び免疫組織化学的検討

坪河 太1,2, 武島 幸男1, 末田 泰二郎2, 四方 裕夫2, 吉岡 伸吉郎3, 井内 康輝1
1広島大学第2病理, 2同 第1外科, 3同 第2外科

Solitary fibrous tumorの自験例6例の病理組織学的検討及び免疫組織化学的検討を行った.症例は49才から67才,平均58才で,男性3例,女性3例である.腫瘍はいずれも外科的に切除されたが,肉眼的には最大径1.5 cmから20 cm,平均8.3 cm大の被膜を有する灰白色,充実性の腫瘤で,4例は臓側胸膜に,2例は壁側胸膜に有茎性に付着していた.組織学的には,紡錘形の細胞の増生が多彩な配列を示し,いわゆるpatternless pattern を示した.免疫組織化学的染色を施行した4例では,いずれもCD34,vimentinの強陽性所見を示し,keratinは陰性であった.一方,neurofilamentやS-100蛋白の陽性像,α-SMAの陽性像を一部の症例に認め,部分的には神経細胞,神経鞘細胞あるいは平滑筋細胞への分化があることが示唆された.また,bcl-2は全例陽性所見を示した.
索引用語:Solitary fibrous tumor, CD34, bcl-2

受付日:1998年1月5日
受理日:1998年2月2日

肺癌 38 (2):117─122,1998

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