タイトル
第38巻第2号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

骨吸収マーカーをもちいた肺癌骨転移の補助診断

中村 博幸, 柏原 光介, 柳生 久永, 土田 文宏, 苅谷 嘉之, 木口 俊郎, 松岡 健
東京医科大学内科学第5講座

肺癌骨転移の診断は一般に骨シンチグラムを代表とする画像診断で行われているが定量性,偽陽性,経費および簡便性などの問題があった.近年,新しい骨代謝マーカーが開発されたので,これらの肺癌骨転移に対する有用性を検討した.ICTPは骨転移のある肺癌症例で9.0±5.2 ng/mlであり良性肺疾患3.7±1.1 ng/mlおよび骨転移のない肺癌症例4.6±1.6 ng/mlに比較して有意に高値であった(p<0.05).さらに経過の追えた症例では骨転移の進行にともない有意に高値を呈した(p=0.012).一方PICPは骨転移のある肺癌症例,良性肺疾患および骨転移のない肺癌症例で有意差はなかった.さらに骨転移の進行を反映することはなく,肺癌の骨転移の診断および骨転移の進行の評価に有用性はみられなかった.ICTPは骨転移を反映しており病期分類および骨転移の進行を評価する補助因子となり,モニタリングとしても重要な因子となることが示唆された.
索引用語:Lung cancer, Bone metastasis, Cross-linked carboxyterminal telopeptide of type I collagen (ICTP), Carboxyterminal propeptide of type I procollagen (PICP)

受付日:1998年2月2日
受理日:1998年3月2日

肺癌 38 (2):123─130,1998

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