タイトル
第38巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

20年前の骨腫瘍と同様の肺病変が出現した悪性線維性組織球腫類似の未分化肉腫の1例

斎藤 博之, 水沢 彰郎, 江部 達夫, 富樫 賢一, 薄田 浩幸**
長岡赤十字病院呼吸器科, 同 呼吸器外科, **新潟大学第2病理

49歳男性.昭和49年9月29歳の時に右上腕骨遠位端の非化骨性線維腫と診断され初めての掻爬術を受けた.以後再発を繰り返し,昭和51年2月に悪性線維性黄色腫の診断で右肩関節離断術を施行された.その18年6ヵ月後の平成6年8月,右S9に腫瘤影が出現.spiculation, pleural indentation をともない悪性腫瘍が強く示唆され同年9月右肺下葉部分切除術施行.病理組織学的には未分化な細胞の単一性増殖からなる腫瘍で,骨腫瘍と同様に不明瞭ながら紡錘形細胞のstoriform pattern が窺われた.PAS染色は陰性で,銀染色では個々の細胞間に好銀線維が入り込み悪性線維性組織球腫(以下MFH)が最も考えられた.しかし,免疫組織化学染色では骨,肺腫瘍ともにvimentinが陰性でMFHの所見としては合致せず未分化肉腫の診断とした.本腫瘍がMFHの範厨に属する腫瘍か,肺腫瘍が転移性腫瘍であるかの議論は残るが,初発20年後に骨腫瘍と同様の肺病変切除例は貴重な症例と考え報告した.
索引用語:Undifferentiated sarcoma, Malignant fibrous histiocytoma, Metastatic lung tumor, Surgical treatment, Long term prognosis

受付日:1997年6月4日
受理日:1998年1月29日

肺癌 38 (2):139─144,1998

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