タイトル
第38巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

FDG-PETで陽性を示し肺癌との鑑別を要した原発性肺クリプトコッカス症の1例

折野 公人, 川村 光夫, 佐澤 由郎, 鈴木 一郎
医療法人明和会 中通総合病院呼吸器外科

胸部異常陰影で受診した76歳の女性.胸部CTで左S6に胸膜嵌入像を伴った直径約10 mmの腫瘤影を認めた.18F fluorodeoxy glucose positron emission tomography(FDG-PET)検査では,腫瘤影に一致して高い集積像を示し,肺癌が疑われた.胸腔鏡下肺部分切除を行った結果,原発性肺クリプトコッカス症と診断された.術後は髄膜炎の予防のために抗真菌薬を12ヵ月にわたって投与された.FDG-PETは肺癌の診断に有効な検査であるが,孤立性の腫瘤を形成した原発性肺クリプトコッカス症では,偽陽性を示すことがあり,肺癌との鑑別がしばしば困難である.
索引用語:Pulmonary cryptococcosis, FDG, PET, Lung cancer

受付日:1997年12月11日
受理日:1998年1月30日

肺癌 38 (2):145─148,1998

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