タイトル
第38巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

EBウイルス陽性T細胞型膿胸関連リンパ腫の1例

橋詰 寿律, 菊地 敬一, 安田 政実
国立療養所神奈川病院外科, 東海大学病理

人工気胸術後の慢性結核性膿胸壁に発生したリンパ腫(pyothorax-associated lymphoma, PAL)の1例を経験した.症例は69歳,男性.24歳時に肺結核のため人工気胸術を施行された既往がある.1995年6月頃より左胸痛が出現し,同年9月18日入院.入院時の検査所見では赤沈の亢進および血清NSEの上昇がみられた.左側胸部に腫瘤を認め生検したところ,びまん性大細胞型非ホジキンリンパ腫と診断された.免疫組織化学的にT細胞型であり,in situ hybridization で腫瘍細胞の核内にEBER-1の発現を認めた.従来より本疾患の発生に慢性の炎症刺激が関与しているといわれてきたが,さらにEBウイルスが関与していることが示唆された.本症例は慢性膿胸壁に発生したT細胞型悪性リンパ腫にEBウイルスの存在を証明した本邦初の症例であり,貴重であると考え報告した.
索引用語:Malignant lymphoma, Epstein-Barr virus, Tuberculous pyothorax, Pyothorax-associated lymphoma, T cell lymphoma

受付日:1997年12月16日
受理日:1998年2月9日

肺癌 38 (2):153─157,1998

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