タイトル
第38巻第3号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌肺切除後脳転移症例の検討

別所 俊哉, 三好 新一郎**, 前部屋 進自, 鈴間 孝臣, 平井 一成, 谷野 裕一, 吉増 達也, 有本 潤司, 内藤 泰顯, 上松 右二
和歌山県立医科大学第1外科, 同 脳神経外科, **大阪大学第1外科

364例の肺癌肺切除例中,術後に脳転移を来した症例は35例(9.6%)で単発転移例が20例(57.1%),多発転移例が15例(42.9%)であった.脳転移に対する手術は18例(51.4%)に行われた.手術群の中間生存期間(MST)は9.5ヵ月,5生率は20.0%であった.一方非手術群ではMSTは4ヵ月で,13ヵ月を越える生存例はなく,予後不良であった.手術群における予後因子は,脳以外の他臓器転移の有無であった.脳転移手術例中,3年以上生存した長期生存例は5例(27.8%)で,肺切除後のDFIが平均30.6ヵ月と長く,脳転移数は単発で,全例脳以外に転移巣を認めなかった.また,このうち4例に脳転移に対する手術が2回以上行われていた.このような症例に対して積極的に手術を行うことが予後向上につながると考える.
索引用語:Lung cancer, Brain metastasis, Surgical treatment

受付日:1998年2月16日
受理日:1998年5月14日

肺癌 38 (3):205─213,1998

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