タイトル
第38巻第3号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

肺扁平上皮癌におけるNeoadjuvant hyperthermiaとapoptosis

立花 秀一, 川上 万平, 中尾 圭一, 時津 浩輔, 佐々木 進次郎, 大槻 勝紀
大阪医科大学胸部外科, 同 第1解剖

有効な加温を行い得たNeoadjuvant hyperthermia施行の胸壁浸潤型肺扁平上皮癌例において,術後の病理組織学的所見からアポトーシスが疑われ,温熱による抗腫瘍効果とアポトーシスの関連性を検討した.アポトーシスの同定にはTunel法を,アポトーシスの誘導因子としてFas抗原とFas ligandの発現を検討した.有効な加温が行われた腫瘍中心部において,壊死巣周辺部ではHE染色で,アポトーシスに特徴的な核クロマチン凝集を伴うNC比の小さい細胞が認められたが,この細胞の核はTunel法に強陽性であり,アポトーシスに陥った細胞と考えられた.一方,抗Fas抗体陽性細胞はviableな腫瘍部分に一方,抗Fas ligand抗体は壊死巣のリンパ球に認められた.このことより,温熱の殺細胞効果としてFas ligandを介するアポトーシスの関与が示唆された.
索引用語:Lung cancer, Hyperthermia, Apoptosis, Fas antigen

受付日:1997年12月19日
受理日:1998年4月9日

肺癌 38 (3):241─247,1998

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