タイトル
第38巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

非小細胞肺癌患者における末梢血単核球のInterleukin12産生能の検討

新美 岳
名古屋市立大学第2内科

Interleukin 12(IL-12)はT helper 1型リンパ球の分化に決定的な役割をはたしている.抗腫瘍免疫反応においても,IL-12は重要な役割を演じていると考えられる.今回Lipopolysaccharide(LPS)とInterferon-γ(IFN-γ),Phytohemagglutinin(PHA)の刺激を用い,非小細胞肺癌患者の末梢血単核球における IL-12産生能について検討した.進行非小細胞肺癌患者11人と正常対照者11人を対象とした.IL-12の測定はELISA法により行った.LPS+IFN-γ刺激でのIL-12産生は肺癌患者と正常対照者の間に差は認めなかった.一方PHA刺激でのIL-12産生は正常対照者に比べ肺癌患者で有意に低下していた(P<0.05).IL-12産生と組織型,臨床病期およびperformance status(PS)との間に特に関連は認められなかった.この結果から進行非小細胞肺癌患者で何らかのリンパ球機能低下が存在し,IL-12産生能も低下している事が示唆された.
索引用語:Non-small cell lung cancer, Interleukin 12, Cytokines, Antitumor-immune response, Peripheral blood mononuclear cell

受付日:1997年12月26日
受理日:1998年6月11日

肺癌 38 (4):301─307,1998

ページの先頭へ