タイトル
第38巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺気腫症を有する肺癌症例の検討

林 孝二, 福島 鼎, 相良 勇三, 白石 裕治, 蛇沢 晶, 川辺 芳子**, 町田 和子**, 毛利 昌史**
国立療養所東京病院呼吸器外科, 同 病理, **同 内科

当院において1995年10月より1997年3月までに肺気腫評価で6分間歩行試験を施行した162例を対象とし,肺気腫を有する肺癌合併例の頻度と治療法について検討した. 肺癌合併例は8例(4.9%),平均年齢67.6歳(59-77),男性7例・女性1例で,全例に喫煙歴があった(喫煙係数470-1840),組織型は,扁平上皮癌5例・腺癌2例・大細胞癌1例であった.治療内容は,手術5例(肺葉切除2,部分切除3),化学療法1例,放射線治療1例,化療+放治1例であった.肺気腫は高齢,喫煙者に多く,肺癌合併例も多い.したがって,肺気腫の術前評価時には,喀痰細胞診のルーチン化など,肺癌合併を十分考慮して検査をすすめる必要がある.外科的治療の選択については,術後在宅酸素療法(HOT)導入例も多いため,慎重に適応を検討すべきと考える.手術は,可能ならば胸腔鏡下の縮小手術が望ましい.
索引用語:Lung cancer, Pulmonary emphysema, Sputum cytology, Six-minute walking-test (6MD)

受付日:1997年11月14日
受理日:1998年7月13日

肺癌 38 (4):317─321,1998

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