タイトル
第38巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

Quality-Adjusted Survival Analysis を用いたIIIB,IV期非小細胞肺癌に対するCisplatin,Ifosfamide,CPT-11併用療法(CIC療法)の評価

藤田 昭久, 惣田 隆生, 高畠 博嗣, 田垣 茂, 関根 球一郎
北海道恵愛会南一条病院呼吸器科, 塩野義製薬(株)解析センター

IIIB,IV期非小細胞肺癌を対象に,quality-adjusted survival analysisを用いてCIC療法の評価を行った.生存期間を化学療法のための入院期間(toxicity;TOX),外来期間(TWiST),対症療法のための入院期間(relapse;REL)の3つに区切り,これらと各期間の生活の質の重みを示す係数(効用値)ut,uw,urとの積の和(utTOX+uwTWiST+urREL)をuw=1とし,ut,urを1以下で変動させた値(Q-TWiST)を指標とした.この指標を用いて,CIC療法を施行した38例と cisplatin を中心としたプロトコールを施行した107例と種々の理由により化学療法を施行しなかった51例を比較し,さらに各群の背景因子が異なることを考慮し,Q-TWiSTを従属変数,年齢,性別,PS,組織型,臨床病期,治療法を予測変数として,自動交互作用検出法(AID法)を用いて治療法がQ-TWiST に及ぼす影響について検討した.観察期間を24ヵ月までとした場合,化学療法群の有意性が認められたのはut>urとなる場合であり,CIC療法が有意な因子となったのはutが0.8以上の限られた組み合わせのみであった.化学療法全体としては生活の質の向上に及ぼす影響は期待できるが,CIC療法が他のregimenに比べて影響が大きいとは言えない結果であった.
索引用語:Non-small cell lung cancer, CPT-11, Quality-adjusted survival analysis

受付日:1998年5月11日
受理日:1998年7月14日

肺癌 38 (4):323─334,1998

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