タイトル
第38巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

左残存肺全摘術で呼吸困難が消失した,上葉切除後肺軸捻転による左主気管支狭窄症の1例

服部 良信, 根木 浩路, 小林 靖典, 山本 徹, 杉村 修一郎
藤田保健衛生大学胸部外科

症例は68歳の女性.1990年9月25日原発性肺癌で左上葉切除+R2a 郭清を施行した.高分化腺癌で,p-stage I(T1N0M0)であった.術後化学療法(VP-16,CDDP)を施行した.1991年7月頃より呼吸困難・喘鳴が出現した.胸部CTと気管支鏡検査で左上葉切断部の中枢側の左主気管支の狭窄を認めたが,再発は認めなかった.経過観察中狭窄による症状が進行した.1994年2月22日の胸部単純X線写真で残存下葉に腫瘤陰影を認め,CT下針生検で再発性肺癌が疑われた.他臓器転移は認めなかった.左主気管支狭窄を考慮し,4月26日左残存肺全摘術を施行した.左主気管支は上方に偏位し,時計方向に約90度捻転し,狭窄は上葉支断端部の中枢側にあり,内径は3 mmであった.再発性肺癌であった.術後呼吸困難は消失し,PSは1であった.左残存肺全摘術後3年7ヵ月で全身転移のため死亡した.
索引用語:Lung cancer, Pulmonary torsion, Recurrent lung cancer, Completion pneumonectomy

受付日:1998年5月27日
受理日:1998年7月13日

肺癌 38 (4):341─345,1998

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