タイトル
第38巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

化学療法開始直後に全身性の汎発性帯状疱疹を来した肺小細胞癌の1例

原田 真雄, 斎藤 孝久, 磯部 宏
国立札幌病院呼吸器科

症例は70歳,男性.近医で左肺異常影を指摘され当科に紹介された.左下葉の胸膜に接する腫瘤に対し左第9肋間からの経皮的針生検を行い小細胞癌と診断した.カルボプラチンとエトポシドによる化学療法開始後5日目に左下背部(第9胸髄レベル)に帯状疱疹が出現した.7日目から高熱を伴った汎発疹が全身皮膚及び口腔粘膜に拡大したが,アシクロビルなどの投与により他の合併症を来すことなく軽快した.肺癌など固形癌の治療開始直後に高度の汎発性帯状疱疹を併発することは稀である.本症例では経皮穿刺による肋間神経への刺激がウイルス再活性化の誘因となり,更に化学療法が汎発疹の拡大に関与した可能性が推察される.
索引用語:Lung cancer, Small cell carcinoma, Disseminated herpes zoster, Chemotherapy, Transthoracic needle aspiration biopsy

受付日:1998年2月23日
受理日:1998年7月31日

肺癌 38 (6):703─707,1998

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