タイトル
第38巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

Von Recklinghausen病に合併した縦隔原発悪性神経鞘腫の2例

川村 光夫, 鈴木 一郎, 折野 公人, 佐澤 由郎
明和会中通総合病院呼吸器外科

von Recklinghausen病に合併した神経原性悪性腫瘍の2例を報告する.症例1は16歳,女性.右前胸部痛にて,近医を受診し,右胸腔内に大量の血性胸水が認められた.胸腔ドレナージ後の胸部レントゲン写真にて,右後縦隔の腫瘤が明らかとなり,腫瘍摘出を試みたが,腫瘍からの出血が著しく,試験開胸に終わった.悪性神経鞘腫の病理診断にて術後3ヵ月後に癌死した.症例2は,39歳,女性.呼吸困難にて入院.胸部CT検査にて上縦隔に直径12 cm大の辺縁明瞭な腫瘤が認められ,上大静脈,気管および左右主気管支を圧排していた.通常の気管内挿管では呼吸管理できず部分体外循環下に腫瘍を摘出した.病理学的に悪性神経鞘腫に横紋筋肉腫の成分が混在する悪性triton腫瘍と診断された.術後,左副腎に再発し開腹摘出術を受けたがその後は再発なく外来通院中である.von Recklinghausen 病は神経原性腫瘍の合併が多く,悪性化も稀ではなく注意が必要である.
索引用語:Mediastinal tumor, Malignant schwannoma, Malignant triton tumor, Von Recklinghausen's disease

受付日:1998年7月9日
受理日:1998年8月10日

肺癌 38 (6):715─720,1998

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