タイトル
第38巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

気胸を契機に発見された径5 mmの肺腺癌の1例

坂本 和裕1,2, 廣川 智1, 渡部 克也1, 山崎 安信1, 須田 嵩1, 井出 研1
1済生会横浜市南部病院外科, 2現 横浜市立市民病院胸部外科

症例は42歳,男性.左気胸にて当院入院の際,胸部CT検査にて左肺上葉S4aに径5 mmの腫瘤影を認めた.今回の気胸は初回であったため胸腔drainageのみで改善し退院した.thin-section CT上肺癌が疑われたため外来にて肺腫瘤に対し気管支鏡検査を行ったが確定診断は得られず,胸腔鏡下生検を施行.術中迅速病理診断にて肺腺癌の結果を得たため,左肺上葉切除,縦隔リンパ節郭清(R2a)及び肺嚢胞切除を施行.病理組織学的には,細気管支肺胞上皮癌(p-T1N0M0p0pm0)と診断された.また腫瘍は胸膜から離れており,本症例の気胸はブラに起因したものと考えられた.中高齢者の気胸においては併存肺病変の見落としのないように心がけるべきである.
索引用語:Lung cancer, Adenocarcinoma, Small lung carcinoma, Spontaneous pneumothorax, Video-assisted thoracoscopic surgery

受付日:1998年8月3日
受理日:1998年9月7日

肺癌 38 (6):745─749,1998

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