第38巻第7号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
気管支洗浄液のテロメラーゼ活性測定の肺癌診断における有用性
出口 博之, 四ノ宮 成祥*, 尾関 雄一, 佐藤 光春 , 桑原 元尚, 原口 秀司, 尾形 利郎**, 田中 勧防衛医科大学校第2外科, *同 微生物学教室, **東海大学医学部健診センター
肺癌33例,非肺癌15例の気管支洗浄液のテロメラーゼ活性をnon-RI法により測定し,肺癌の補助診断法としての有用性について検討した.肺癌症例の陽性率は78.8%で,非肺癌の26.7%に比べ有意に高率であった.組織型別では扁平上皮癌88.9%,腺癌81.3%,大細胞癌50%,小細胞癌66.7%であった.細胞診との比較ではclass IIで36.4%,class IIIで33.3%,class IV,Vで91.3%の陽性率であり,細胞診のclassの高いものほど,テロメラーゼ活性の陽性率も高かった(Spearman:p=0.0001).class IIと診断された中で最終診断が肺癌であった症例は57.1%の陽性率であり,非肺癌の26.7%に比べ高い傾向にあった.細胞診で確診がつかない症例でもテロメラーゼ活性が高い場合には肺癌である可能性が高く,気管支洗浄液のテロメラーゼ活性測定は肺癌の補助診断法として有用であると考えられた.
索引用語:Telomerase, TRAP assay, Bronchial lavage, Lung cancer
受付日:1998年7月21日
受理日:1998年9月22日
肺癌 38 (7):815─823,1998