タイトル
第38巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

Solitary fibrous tumor of the pleura,その組織発生と生物学的性格について

岡田 真也, 海老原 善郎, 工藤 玄恵, 芹沢 博美, 加藤 治文**
東京医科大学病理学第2講座, 同 病院病理部, **同 外科第1講座

Solitary fibrous tumor of the pleuraの20症例を病理組織学的に検討した.組織学的には細胞密度によって,硬化型,富細胞型および混合型に分類された.電顕的に腫瘍細胞はspindle cell,dedritic cellと,その中間型からなり,種々の細胞内小器官をいれた細胞突起で嵌合していた.免疫組織学的には,細胞の形態に拘らず,vimentin(100%),CD34(73%)の陽性率が高かった.一部の細胞にはsynaptophysin,neurofilament,S-100,MIC-2,NGFR,SMA,desminが陽性となった.臨床的悪性の2例では,細胞密度,核異型度,核分裂像頻度が高く,そしてp53,ki-67,PCNAの陽性率も高いことが共通していた. 以上から本腫瘍細胞は神経系や筋系細胞への分化能を持った胸膜下結合織の未分化間葉系細胞に由来すると考えられた.その悪性度の判定には従来の形態的な因子のほかに,p53などの分子生物学的評価が必要である.
索引用語:Solitary fibrous tumor, Pleura, Immunohistochemistory, Electron microscopy, Histogenesis

受付日:1998年8月11日
受理日:1998年9月30日

肺癌 38 (7):825─835,1998

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