タイトル
第38巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

腫瘍最大径10 mm以下の末梢部微小肺癌における, 臨床病理組織学的特徴と予後及び 縮小手術の適応に関する検討

田尻 道彦1, 亀田 陽一2, 前原 孝光3, 石和 直樹3, 野田 和正4
1関東労災病院外科, 2神奈川県立がんセンター検査第1科, 3同 外科第1科, 4同 内科第3科

微小肺癌の臨床病理学的性格を掴むために,腫瘍最大径10 mm以下の末梢部肺癌切除症例39例を検討した.25例に肺葉切除及びR2郭清を施行したが,n0が24例,n1が1例,全例pm0であった.組織型は腺癌33例(高分化25例,中分化6例,低分化2例),カルチノイド5例,大細胞癌1例であった.腺癌について,増殖様式を肺胞被覆型(被覆型)と肺胞構造破壊型(破壊型)に,腫瘍内線維化巣を陰性,弾性線維型,膠原線維増生型に,細胞丈を高群,中群,低群に分類し検討した.それぞれ被覆型25例,破壊型8例,線維化巣陰性20例,弾性線維型7例,膠原線維増生型6例,高群3例,中群9例,低群21例と,高分化,被覆型,線維化巣陰性,低群が多いことが特徴的であった.術後,肋骨転移1例(破壊型腺癌,担癌生存),肝転移1例(カルチノイド,原病死),他病死1例が認められ,他は非再発健存である.末梢部微小肺癌は一般に予後良好であるが,組織学的に進行例と思われる症例もあり,縮小手術の適応には,詳細な組織学的検討を要すると思われた.
索引用語:Lung cancer, Small size, Limited surgery, Bronchioloalveolar cell carcinoma, Height of cell

受付日:1998年8月17日
受理日:1998年9月29日

肺癌 38 (7):847─853,1998

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