タイトル
第38巻第7号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

肺癌に伴う肺梗塞3例のCT所見の検討─肉眼所見および病理組織所見との対比─

叶内 哲1, 星 俊子1, 松島 秀和2, 相原 利一2, 高柳 昇2, 星 永進3, 青山 克彦3, 河端 美則4
1埼玉県立小原循環器病センター放射線科, 2同 呼吸器内科, 3同 呼吸器外科, 4同 検査部

手術の行われた原発性肺癌で肺梗塞を合併した3例(扁平上皮癌1例,非定型カルチノイド1例および腺癌1例)について,CT所見と切除肺の肉眼所見および病理組織所見を対比検討した.梗塞巣は合計13個で,いずれも浸潤により狭窄した肺動脈の支配領域に存在していた.胸膜から離れた病変が7個,胸膜面に接する病変が6個認められた.2例では中枢肺動脈と肺静脈の両方の狭窄が認められたが,1例では肺動脈の狭窄のみで肺静脈は保たれていた.肺癌に伴う肺梗塞のCT所見の特徴は,浸潤により狭窄した肺動脈の支配領域に存在すること,胸膜から離れた結節と胸膜面に接する結節がほぼ同じ頻度で観察され,気管支肺動脈束に沿う分布を示す場合もあること,周囲にスリガラス状陰影を伴う新鮮な病変や,小葉間隔壁で境界されるため直線的辺縁を有する病変,収縮性変化を伴う古い病変など発症時期の異なる多彩な病変が同時に観察されること,である.
索引用語:Pulmonary infarction, Lung cancer, Computed tomography

受付日:1998年9月1日
受理日:1998年10月21日

肺癌 38 (7):891─896,1998

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