タイトル
第39巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺腺癌中心部瘢痕の割合と野口分類:野口のC型腺癌の亜分類の可能性

鈴木 健司, 横瀬 智之, 吉岡 孝, 河崎 英範, 吉田 純司, 西村 光世, 高橋 健郎, 永井 完治, 西脇 裕
国立がんセンター東病院呼吸器科, 国立がんセンター研究所支所臨床腫瘍病理部

1980年に下里らにより「瘢痕癌」の概念が訂正されて以来,肺腺癌における瘢痕の質的性状と予後との関連が報告されてきたが,瘢痕の量的性状と予後の関連についての検討はこれまでに無い.1987年から1992年までの間に切除された3 cm以下の原発性肺腺癌連続100症例を対象に中心部瘢痕の腫瘍最大径に対する割合と野口分類との関連を検討した.全症例の5年生存率は75%.中心部瘢痕の腫瘍最大径に対する割合は単変量,多変量の解析で共に有意な予後因子であった.野口のAまたはB型腺癌では瘢痕の割合が30%以下である傾向が認められ,野口のC型であっても瘢痕の割合が50%以下の場合,5年生存率は85%で有意に予後良好であった.2 cm以下の症例では瘢痕の割合が30%以下の場合,全例pN0でこれらの症例は縮小手術の対象となる可能性があった.腺癌における中心部瘢痕の割合は有意な予後因子であり,野口らのC型腺癌の亜分類も可能であると考えられた.
索引用語:Classification of small adenocarcinoma defined by Noguchi et al., Limited surgery, Prognostic factor, Multivariate analysis

受付日:1998年10月7日
受理日:1998年11月9日

肺癌 39 (1):3─11,1999

ページの先頭へ