タイトル
第39巻第1号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

胸腔鏡あるいは開胸生検を要した3 cm以下の肺末梢腫瘤の生検理由の検討

野守 裕明, 堀尾 裕俊, 冬野 玄太郎, 小林 龍一郎, 森永 正二郎**, 末舛 恵一
東京都済生会中央病院呼吸器外科, 同 呼吸器内科, **同 病理科

胸腔鏡下生検において肺癌の診断効率を向上させるために胸腔鏡下あるいは開胸生検された30 mm以下の肺末梢限局性陰影122例の生検理由を中心に検討した.肺癌44例と炎症性腫瘤(結核,非特異的炎症)40例の間で生検理由が画像上の悪性所見であった頻度に差はなかった.以前のX-pと比較して肺癌は炎症性腫瘤より陰影の増大が多く新たに出現したものが少なかった(P<0.05).肺癌でN0例はN1-2例より画像上の悪性所見が少なかった(P<0.05).画像上で明らかな悪性所見がなく陰影が新たに出現したものであれば炎症性腫瘤の可能性も高い.肺癌であってもT1N0M0の可能性が高く経過観察し陰影の増大後に生検をしても病期の進行する可能性は低いと思われる.このような方法で胸腔鏡下生検における肺癌の診断効率を向上させることは重要である.
索引用語:Small lung nodule, Lung cancer, Open-lung biopsy, Thoracoscopic biopsy

受付日:1998年8月11日
受理日:1999年1月19日

肺癌 39 (1):35─41,1999

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