タイトル
第39巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

肺リンパ腫様肉芽腫症(lymphomatoid granulomatosis;LYG)の1切除例

井上 修平, 藤野 昇三, 手塚 則明, 紺谷 桂一, 高橋 雅士, 村田 喜代史
滋賀医科大学第2外科, 同 放射線科

症例は70歳,女性.乾性咳嗽と胸部異常陰影を主訴に入院した.胸部X線・CT写真で左舌区に気管支透亮像と胸膜陥入像を伴う浸潤影が認められた.気管支鏡下肺生検では確定診断が得られなかったが,悪性腫瘍が否定できなかったため開胸術を施行した.術中迅速組織診で悪性リンパ腫疑いと診断され,腫瘍が主肺動脈,気管支に直接浸潤し,周囲肺組織との境界も不鮮明であったため,左肺全摘術を施行した.術後病理診断はリンパ腫様肉芽腫症(lymphomatoid granulomatosis;LYG)であり,血管壁及びその周囲に強い細胞浸潤と血管壁の破壊・閉塞が認められ,浸潤している細胞は幼若な線維芽細胞,リンパ球,形質細胞など多彩であり,主体となるリンパ球は表面形質上T細胞であった.その後,化学療法などの補助療法は行わなかったが,術後13ヵ月の現在,再発なく健存である.
索引用語:Lymphomatoid granulomatosis; LYG, Malignant lymphoma, T cell, Lung tumore, Pneumonectomy

受付日:1998年8月24日
受理日:1998年11月5日

肺癌 39 (1):51─56,1999

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