タイトル
第39巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

塩酸イリノテカンによると思われる薬剤性肺臓炎の1例

鶴谷 純司1,2, 福田 実2, 福田 正明3, 高谷 洋2, 岡 三喜男2, 河野 茂2
1国立療養所武雄病院内科, 2長崎大学第2内科, 3日赤長崎原爆病院内科

51歳,男性の進展型肺小細胞癌(T2N3M1)に対しシスプラチンとエトポシドの併用化学療法を2コース施行し,引き続いて塩酸イリノテカン(以下CPT-11)を総計560 mg(320 mg/m2)投与した.CPT-11投与開始後7週目より乾性咳嗽と38℃台の発熱を認め,胸部レントゲン写真で両下肺野を中心にスリガラス様陰影,胸部CTでは両肺びまん性の肺野濃度上昇を認めた.臨床経過よりCPT-11による肺臓炎を疑い,静注メチルプレドニゾロンおよび経口プレドニゾロンを投与し,臨床症状の軽快と胸部レントゲン写真およびCTで陰影の改善を認めた.CPT-11による薬剤性肺臓炎の報告は少ないが,今後CPT-11を投与するにあたり十分な注意と発症時の早急な対処が必要である.
索引用語:CPT-11, Drug-induced pneumonitis, Small cell lung cancer, Cancer chemotherapy

受付日:1998年6月12日
受理日:1998年11月16日

肺癌 39 (1):57─61,1999

ページの先頭へ