タイトル
第39巻第1号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

肉腫様変化を伴った原発性肺腺癌の1例

西田 一典, 石川 雄一, 奥村 栄**, 土屋 繁裕**, 中川 健**, 土屋 永壽
埼玉県立がんセンター病理部, 癌研究会癌研究所病理部, **癌研究会附属病院呼吸器外科

症例は76歳,男性,喫煙指数:20本/日×54年.背部痛にて来院.気管支鏡生検により腺癌と診断,右上葉切除を施行した.腫瘍はS1bに存在し,灰白色,最大径32 mmであった.組織学的には腺癌と肉腫様部分とからなっていた.腺癌の部分は腺房腺癌で一部に胎児肺様の核下空胞を伴う管状構造がみられたがneuroendocrine differentiationはみられなかった.肉腫様部分は紡錘形細胞よりなり,骨・軟骨・横紋筋などへの分化はみられなかった.免疫染色では紡錘形細胞成分はkeratin,EMAは陰性,Vimentinは散在性に陽性を示した.以上より,肉腫様変化を伴った腺房腺癌と診断した.肉腫様変化を伴った腺癌13例の報告(5報)では,男性10例,女性3例と男性に多く,平均年齢68.2歳,肉腫様部分は紡錘形細胞肉腫様が10例,悪性線維性組織球腫様が3例で,本例の臨床病理像と合致していた.
索引用語:Lung cancer, Adenocarcinoma, Sarcomatous change, Carcinosarcoma

受付日:1998年8月25日
受理日:1999年1月11日

肺癌 39 (1):75─80,1999

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