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第39巻第2号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
肺の分化型腺癌と異型腺腫様過形成病変の細胞形態，核DNA定量および免疫組織化学的検討
Chimaengul Wushur1,2, 海老原 善郎2, 加藤 治文3, 市瀬 裕一1, 外山 圭助11東京医科大学内科学第1講座, 2同 第2病理講座, 3同 外科1講座
高分化腺癌（WDA）との異同が問題となる異型腺腫様過形成（AAH）の形態学的特徴を検討した．1995年11月から2年間に手術された肺癌443例から，癌病巣周囲あるいは孤立性にAAHが認められた41例を得，135個の病巣を見出した．これらを細胞異型度によって高度（H），中等度（M）および軽度（L）に分類し，image cytometryを用いて核DNA ploidy patternを，免疫組織化学的にp53，Ki-67，cyclin D1の発現を調べた．その結果，aneuploidyのものはWDA 81.82％であったのに対し，AAH-Hは66.67％，AAH-M 31.03％，AAH-L 24.32％であった．p53，Ki-67，cyclin D1の発現頻度は異型度と共に上昇した．癌周囲性AAH-L，-Mは孤立性AAH-L，-Mに比べてaneuploidyのものが多く，p53，Ki-67，cyclin D1の発現率も高かった．以上の結果はAAHがWDAの前駆病巣として矛盾しないものであり，同時に同程度の異型度を示すAAHでも，癌周囲AAHと孤立性AAHでは，遺伝子レベルに相違があることを想定させた．
索引用語：Atypical adenomatous hyperplasia, DNA ploidy pattern, Immunohistochemistry, Type II pneumocyte, Clara cell
受付日：1998年11月10日
受理日：1999年2月12日
肺癌 39 (2)：125─135，1999
