タイトル
第39巻第2号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺野末梢型小型腺癌に対する積極的縮小手術の試み

前原 孝光, 田尻 道彦, 石和 直樹, 石橋 信, 尾下 文浩, 山田 耕三, 野村 郁男, 野田 和正, 亀田 陽一**
神奈川県立がんセンター外科第1科, 同 内科第3科, **同 検査第1科

治癒切除された肺野末梢型小型腺癌59例をNoguchi分類で分け,thin-section CT画像所見や臨床病理学的因子,予後について検討した.Type A,Bは全例(n=21)無再発生存であり,89%が含気型を呈していた.また,腫瘍径では1.5 cm以上になるとtype C,Dの頻度が増し,リンパ節転移が多く認められた.その結果に基づき,腫瘍径1.5 cm以下で,CTにて含気型を呈する腺癌に対し,胸腔鏡下肺部分切除を施行し,迅速診断にて確認するprospective studyを開始した.CTにて充実型を呈する腺癌に対してはVATS lobectomyを行った.1.5 cm以下の腺癌は27例であり,含気型は19例で,14例(74%)に縮小手術を施行した.全例type A,Bであり,現在まで無再発生存中である.残りの5例中4例はmargin不十分,1例は迅速でtype Cと診断されたため,VATS lobectomyに変更した.充実型8例はtype C,D,Fであり,リンパ節転移が1例,胸水再発が1例認められた.CT所見にて縮小手術の適応をきめ,術中迅速を応用する方法は有用と思われた.
索引用語:Small peripheral adenocarcinoma, Limited operation, Noguchi's type, Thin-section CT, VATS (Video-assisted thoracic surgery)

受付日:1999年1月5日
受理日:1999年3月9日

肺癌 39 (2):145─151,1999

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