タイトル
第39巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

ブラ壁内腔側にポリープ状に発育した肺腺癌の1例

高橋 隆二, 中田 尚志, 森 裕二, 阿部 庄作
函館五稜郭病院呼吸器科, 札幌医科大学第3内科

症例は44歳男性.喫煙歴15本/日×24年間.平成5年5月から肺気腫にて外来で経過観察中であったが,以後3年間来院せず平成8年9月胸部CTにて異常陰影を認めた.右S6c末梢のブラの内腔に初診時には認められなかった径16 mm大のきわめて鮮明な腫瘤陰影がポリープ状に突出しているのを認めた.ブラに合併した肺癌あるいはfungus ballが疑われたが,開胸肺生検にて腺癌との診断が得られ,引き続き右下葉切除術とリンパ節郭清を施行した.組織学的には腺癌でT1N0M0,stage IAであった.腫瘍は肺実質からブラ側へダンベル様に増殖して,その大部分はブラ側にポリープ状を呈していた.気腫性嚢胞の患者に肺癌が高頻度に合併するとされ,しばしば報告はみられるが,ブラ壁内腔側へポリープ状に発育する症例は少ない.本邦における肺嚢胞隣接肺癌症例100例について本症例を含めて検討した.
索引用語:Lung cancer, Adenocarcinoma, Pulmonary bulla

受付日:1998年10月7日
受理日:1999年2月10日

肺癌 39 (2):165─170,1999

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