タイトル
第39巻第2号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

Taxotere/Adriamycin/Cyclophosphamide(TAC)療法が奏功した乳癌胸腔内転移の1例

津島 健司, 小泉 知展, 畑山 織絵, 小林 孝至, 久保 惠嗣, 関口 守衛
信州大学第1内科

症例は53歳女性.1995年9月8日左乳癌摘出手術を施行された.papillotubular typeで,p-stage IIであり,その後,放射線照射およびホルモン療法を施行された.平成10年4月頃から体動時呼吸困難を主訴に近医を受診し,胸部X線写真で左胸水貯留を指摘され当院を紹介された.乳癌に特異的なNCC-ST-439が15.3 U/lと上昇,胸部CT所見から乳癌の再発と診断された.TAC療法を6クール施行し,画像的に完全寛解に達した.副作用は,grade 4の好中球減少,全身性の浮腫および左胸水貯留を呈したことである.この際,胸水細胞診および胸水中腫瘍マーカーは明らかな異常を認めず,文献的な報告と併せてTaxotereによる水分貯留と判断した.TAC療法は再発性乳癌の初期化学療法として非常に有効な治療法であると思われる.
索引用語:Taxotere, Intrathoracic metastasis, Breast cancer, TAC therapy, Pleural effusion

受付日:1998年11月20日
受理日:1999年2月17日

肺癌 39 (2):183─190,1999

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