タイトル
第39巻第3号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌診療における費用効果に関する研究―特に肺癌検診の意義―

中村 浩明, 斎藤 厚
琉球大学第1内科

近年,informed consentの問題,医療費の削減等,医療をめぐる環境の変化より,医療費の効率のよい配分が本邦においても重要な問題となっている.こういった時代背景を元に自験例につき,肺癌検診の意義を費用効果面より分析・検討を試みた.1991年1月から1997年10月まで当科にて最後まで経過が追えた肺癌患者死亡症例29例(化学療法施行群14例,支持療法群15例)について,入院経費・生存期間・生存1日あたりに要した費用等をこの間のp-stage I期手術群を対照として比較検討した.入院総費用平均,生存1日あたりに要した費用,生存期間のいずれにおいても,特に検診発見が主体のp-stage I期群の方が化学療法群,支持療法群との比較において有意に優れていた. この結果,I期肺癌の検出を目的とした肺癌検診の対費用効果面における重要性があらためて示唆された.
索引用語:Mass survey for lung cancer, Cost effectiveness, p-stage I lung cancer

受付日:1998年4月13日
受理日:1999年3月17日

肺癌 39 (3):251─260,1999

ページの先頭へ