タイトル
第39巻第3号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

非小細胞肺癌組織中テロメラーゼ逆転写酵素mRNA検出の意義

原 英則, 山下 和也, 鈴木 聡美, 品田 純, 吉村 博邦, 亀谷 徹
北里大学胸部外科学, 同 病理学

多くの癌細胞の染色体末端では酵素テロメラーゼが活性化し染色体末端の維持を行っている.最近,テロメラーゼの触媒サブユニットであるhuman telomerase reverse transcriptase(h-TERT)の発現はテロメラーゼ活性と強い相関がみられることが判明した.今回,非小細胞肺癌組織においてテロメラーゼ活性とh-TERTの発現をTRAP法及びRT-PCR法により検出し,病理組織型及び病期分類との関係を検討した.肺癌組織22症例中,テロメラーゼ活性は17例,h-TERTの発現は18例に認められ,非癌部ではそれぞれ0例,1例のみ陽性であった.いずれの検査法も非小細胞肺癌組織で高い陽性率を示したが,病理組織型及び病期分類との間には有意な相関は認めなかった.テロメラーゼの検出において,従来多くの施設で行われてきたテロメラーゼ活性の検出と同様,h-TERTの検出も有用であることが示唆された.
索引用語:Non-small cell lung cancer, Telomerase, TRAP (Telomeric Repeat Amplification Protocol) method, h-TERT (Human Telomerase Reverse Transcriptase) gene, RT-PCR (Reverse Transcription-PCR) method

受付日:1998年12月14日
受理日:1999年4月14日

肺癌 39 (3):295─302,1999

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