タイトル
第39巻第3号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

癌性胸水を伴った非小細胞肺癌の予後因子の検討

瀬戸 貴司, 千場 博, 瀬戸 眞由美, 西田 有紀, 深井 祐治
熊本地域医療センター呼吸器科

初診時に癌性胸水を伴った非小細胞癌70例の予後因子をretrospectiveに検討した.対象症例は同期間に当センターにて診断された非小細胞肺癌634例中の11%で,9例は胸水細胞診陰性で,フレキシブル気管支内視鏡を用いた局所麻酔下胸腔鏡下胸膜生検にて診断された.89%の症例が腺癌で,右側胸水貯留例が多かった.単変量解析では,縦隔リンパ節転移例,performance status不良例,胸水蛋白低値,一日胸水排液量が200 ml/day以上の症例の予後が不良であった.治療前因子の多変量解析では,胸水蛋白量と縦隔リンパ節転移の有無が予後因子として残り,さらに,胸腔内化学療法と全身抗癌化学療法を治療前因子とともに多変量解析を行った結果,胸腔内化学療法,全身抗癌化学療法ともに予後因子で,施行群の予後が良好であった.今後,比較試験で,治療の有効性や有効な治療薬を検討していく必要があるが,予後に影響を与える因子を十分検討する必要がある.
索引用語:Non-small cell lung cancer, Malignant pleural effusion, Prognostic factors

受付日:1998年9月18日
受理日:1999年4月15日

肺癌 39 (3):303─308,1999

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