タイトル
第39巻第3号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

治療効果に一致してサーモグラフィー所見の改善を認めた肺性肥大性骨関節症の1例

出村 芳樹, 戸谷 嘉孝, 坪坂 誠司, 飴島 慎吾, 石崎 武志, 宮森 勇
福井医科大学第3内科

48歳女性.全身の多発関節痛を認め近医受診し,胸部異常陰影を指摘され,経皮肺生検にて腺癌と診断.精査加療目的にて当院紹介入院となった.全身検索の結果,原発性肺腺癌と考えられた.ばち状指とともに増悪する多発関節痛を認め,腫瘍随伴症候群が疑われたこと,重複癌の可能性等を考慮し外科的に腫瘍切除が行われた.術後病理よりp-T4N0M1(対側肺内転移)と診断された.術前の骨X線写真上は明らかな異常が認められなかったが,骨シンチグラムでは全身の関節に異常集積を認め,両手のサーモグラフィーにて手指の血流増加が指摘された.術後,関節症状とともに骨シンチグラム,サーモグラフィー上の異常所見は次第に改善した.サーモグラフィーは非侵襲的に反復可能であり,本症例のように骨X線写真上異常所見に乏しい肺性肥大性骨関節症では,骨シンチグラムとともに診断及び治療効果判定に有用な方法と考えられた.
索引用語:Pulmonary hypertrophic osteoarthropathy, Thermography, Lung cancer, Clubbing

受付日:1999年1月28日
受理日:1999年3月26日

肺癌 39 (3):331─337,1999

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