タイトル
第39巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

CTを用いた肺癌一次検診で発見された非癌性限局性病変のCT所見:経過観察中に吸収傾向を示した例について

李 峰, 曽根 脩輔, 高島 庄太夫, 丸山 雄一郎, 長谷川 実, 楊 志剛, 川上 聡, 王 継チェン
信州大学放射線医学教室

CTによる住民検診で肺癌が疑われ,当院で薄層CTを用いた精密検査を受けた719例のうち,経過観察中に病巣が縮小した非癌103例(108病巣)のX線学的特徴を検討した.検診時のCT所見を,Type 1(限局性スリガラス陰影,n=54),Type 2(軟部組織濃度結節,n=27),Type 3(不整形陰影,n=27)に分類した.20 mm以下のものが多く,Type 1(56%)とType 2(70%)は両側下葉,Type 3(52%)は右上葉の底部に多かった.85%(92/108)は検診後3月以内に行われた初回CT精検時に消失あるいは縮小していた.残りの16病巣の69%(11/16)は次の3月後,19%(3/16)が更に次の3月後,13%(2/16)が更に次の6月後に縮小していた.16病巣中の88%(14/16)は薄層CT像で二次小葉性あるいは細葉性陰影を示し,辺縁は直線的あるいはやや陥凹していた.末梢肺野で細い気管支に支配されて分布していた.Type 2やType 3の吸収はType 1より遅かった.
索引用語:Lung cancer, Screening, Computed tomography (CT), Non-cancerous lung lesion

受付日:1999年1月22日
受理日:1999年4月21日

肺癌 39 (4):369─380,1999

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