タイトル
第39巻第4号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌患者発熱時における各種血清学的真菌検査の検討

力丸 徹, 合原 るみ, 今村 友子, 嶋田 知生, 大久保 洋, 大泉 耕太郎
久留米大学第1内科

肺癌患者の発熱において,どの程度,真菌症が関与しているかを検討した.発熱をきたした肺癌患者に対し,各種血清学的真菌検査と血液培養検査をprospectiveに行った.血清学的検査は,カンジダ抗原,アスペルギルス抗原,β-D-グルカンおよびカンジダ属の主要な代謝産物であるD-アラビニトールを検討した.D-アラビニトール値は血清中のクレアチニン値で補正した. 59症例82エピソードにおいて検討を加えた.結果はカンジダ抗原では高頻度に陽性を認めたが,偽陽性に注意が必要と考えられた.3例5エピソードに血液から真菌が培養できた.肺癌患者の発熱における真菌症の関与は,培養陽性例の6%から血清学的検査で一つでも異常値をとったものの61%まで考えられた.総合的に判断すると,強く真菌症を疑う症例の割合は約20%程度と思われた.発熱をきたした肺癌患者においては,深在性真菌症も充分に考慮する必要があると考えられた.
索引用語:Lung cancer, Candida, Serological tests, Fungal infections, Aspergillus

受付日:1999年4月13日
受理日:1999年5月21日

肺癌 39 (4):389─394,1999

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