タイトル
第39巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

CTガイド下生検で脳転移が証明された胸腺癌の1例

渡辺 治, 橋本 俊夫, 中村 博幸, 柏原 光介, 柳生 久永, 松岡 健
水戸済生会総合病院内科, 東京医科大学第5内科(霞ヶ浦病院)

症例は40歳男性.平成8年9月頃より左頚部から上肢の腫脹に気付くも放置していたが,左眼瞼下垂,左頚部痛が出現してきたため,平成9年3月当院を受診し入院となった.胸部CTおよびMRIにて左上縦隔に腫瘤が認められ左総頚動脈,鎖骨下動脈を巻き込み一塊となっていた.さらに頭部CTおよびMRIにて後頭葉に腫瘤が認められた.開胸生検が施行され組織学的に胸腺原発の扁平上皮癌と診断された.また頭部腫瘤に対してCTガイド下生検およびドレナージが施行され胸腺癌の脳転移と診断された.治療は左上縦隔および脳転移巣に放射線療法が施行され,その後全身化学療法が3コース施行された.しかし原発巣および脳転移巣に対する治療効果はなかった.生前,胸腺癌の脳転移が組織学的に証明されることはまれであり文献的考察を加え報告した.
索引用語:Thymic carcinoma, Brain metastasis, Horner syndrome

受付日:1998年11月25日
受理日:1999年6月14日

肺癌 39 (4):443─446,1999

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