タイトル
第39巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

右扁桃転移をきたした肺腺癌の1例

篠原 博彦, 相馬 孝博, 岩島 明, 塚田 博**
長岡中央総合病院中越呼吸器センター胸部外科, 同 呼吸器内科, **同 放射線科

症例は67才男性,血痰のため当院呼吸器内科を受診したところ,右S2に約5 cm大の腫瘤影が発見され,生検にて腺癌と診断,当科にて右上葉切除リンパ節郭清を施行した.手術の際に麻酔医より扁桃の非対称性を指摘された.切除肺の組織型は低分化腺癌で,高度な脈管侵襲を伴っていた.術後経過は順調であったが,退院後に喉頭違和感が出現したため耳鼻科受診,右扁桃腫瘍の診断にて扁桃摘出術が行われた.組織型は低分化腺癌で,肺腺癌と類似しており,肺腺癌の脈管侵襲が高度であったことより肺腺癌の扁桃転移と判断した.化学療法を追加し,現在術後7ヵ月目であるが再発の兆候なく経過良好である.肺癌の扁桃転移はまれであり,本邦での当該症例を集計して文献的考察を加えて報告する.
索引用語:Lung cancer, Metastatic tonsillar tumor

受付日:1999年4月21日
受理日:1999年6月3日

肺癌 39 (4):459─463,1999

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