タイトル
第39巻第4号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

機能的切除不能肺腫瘍に行った制癌剤の経皮的腫瘍内注入(PCTI)療法

門山 周文, 鈴木 実, 尾辻 瑞人, 溝渕 輝明
大宮赤十字病院呼吸器外科

これまで肺切術後に発見した2例の肺悪性腫瘍にMMCの経皮的腫瘍内注入(PCTI)を行い,いずれも良好な結果を得た. 1例目は76歳男性の原発性肺癌切除後の同側残存肺に発見した癌で,高度の胸膜癒着と肺気腫のため試験開胸となり,透視下にMMCのPCTIを2回行った.陰影は瘢痕像となり,37ヵ月後慢性呼吸不全の増悪で死亡するまで良好な局所制御が得られた. 2例目は70歳男性,結腸癌手術後の転移で肝区域切除,左肺S9部分切除を行った.前転移と同じ肺葉に再び陰影が出現した.心機能障害および本人の希望より透視下にMMCのPCTIをこれまで12回行った.CEAは上昇しているが,36ヵ月現在も陰影の著明な増大や自覚症状,PSの悪化は無い. 本法はさらに検討すべき問題はあるが,手術拒否例あるいは機能的に切除不能例の末梢小型肺癌の局所療法と成りうる可能性がある.
索引用語:Percutaneous intratumoral injection, Lung tumor, Anti-cancer drug, Mitomycin-C

受付日:1999年4月21日
受理日:1999年6月7日

肺癌 39 (4):465─470,1999

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