タイトル
第39巻第6号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

2 cm以下の末梢小型肺癌に対する経気管支診断と病理診断に関する考察

遠藤 正浩, 高田 佳木, 大林 加代子, 里内 美弥子, 高月 清宣, 加堂 哲治, 吉村 雅裕, 坪田 紀明, 大林 千穂
兵庫県立成人病センター呼吸器グループ

当院でのCT上2 cm以下の肺野末梢小型肺癌102例に対して,大きさ別の診断率を検討し,病理組織像との関連性,関与気管支との関係,病変の存在部位との関連について検討した.高分解能CTを病変とその区域気管支まで撮影し,気管支鏡,X線透視下にキュレットによる擦過を3回行った.肺野末梢小型肺癌の診断率は10 mm以下で44%,11-15 mmで77%,16-20 mmで86%,全体では76%であった.組織別では,扁平上皮癌や非置換型増殖型腺癌の診断率が高かった.関与気管支が同定できた症例は79%で,その診断率は83%,できなかった症例の診断率は45%で有意差がみられた.病変の存在部位では,右上中葉の診断率が高く,左上葉が低かった.診断率は,病変の大きさと関与気管支の有無,腫瘍組織の性状に依存し,11 mm以上で関与気管支の明瞭な病変では,本検査は最初の診断法となりえると考えられた.
索引用語:Lung cancer, Transbronchial curettage, High-resolution computed tomography, Pathology, Adenocarcinoma

受付日:1999年5月17日
受理日:1999年8月31日

肺癌 39 (6):821─827,1999

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