タイトル
第39巻第6号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺癌に伴う高カルシウム血症と白血球増多症の頻度と予後に関する検討

平木 章夫, 上岡 博, 高田 一郎, 木浦 勝行, 別所 昭宏, 川井 治之, 永田 拓也, 藤本 伸一, 国定 浩一, 原田 実根
岡山大学第2内科

高カルシウム血症と白血球増多症は原発性肺癌において,どちらも比較的よく遭遇する腫瘍随伴症候群であり,時に両者は併発する.今回我々は,高カルシウム血症と白血球増多症の頻度,予後との相関を検討するために,1980年から1996年までに岡山大学第2内科に入院した原発性肺癌623例について検討した.初診時高カルシウム血症発現例は51例(8.2%),悪性腫瘍に伴う白血球増多症の発現例は6例(1.0%)であった.また,高カルシウム血症発現例の生存期間中央値(MST)は4.4ヵ月,白血球増多症発現例では2.9ヵ月であり,いずれも全肺癌症例(MST;9.5ヵ月)また,臨床病期IV 期の肺癌症例(MST;8.9ヵ月)に比べて,有意に予後不良であった(p<0.01).高カルシウム血症と白血球増多症を併発していた2例の生存期間は,1.0ヵ月,1.5ヵ月と極めて短かった.これらの結果より,肺癌における高カルシウム血症あるいは白血球増多症は予後不良因子である可能性が示唆された.
索引用語:Lung cancer, Hypercalcemia, Leukocytosis, Paraneoplastic syndrome

受付日:1999年7月30日
受理日:1999年9月16日

肺癌 39 (6):829─833,1999

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