タイトル
第39巻第6号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

肺野末梢病変に対する,車載型ヘリカルCTの画像評価

滝口 裕一1, 潤間 隆宏2, 長尾 啓一2, 鈴木 公典3, 渡辺 励子1, 木村 弘1, 松本 徹4, 栗山 喬之1
1千葉大学呼吸器内科, 2千葉大学保健管理センター, 3結核予防会千葉県支部, 4放射線医学総合研究所重粒子治療センター

集団検診による早期発見により肺癌患者の死亡率を減少させうる可能性が指摘されている.一方,小型肺癌発見の効率を向上するために検診に胸部CTを導入する試みもなされている.近年開発された車載型CT装置はCTの検診への導入を容易にするものと思われるが,コンパクト設計のため,得られた画像に対する評価が必要であると思われる.腫瘍性病変6病変を含む肺野病変13病変を車載型CT,conventional CT,HRCTで撮像し,病変毎にこれら3つのCT画像の比較を行った.直径1 cm以下の微小な病変であっても車載型CTにより十分に描出可能であった.しかし病変の内部,辺縁の微細な構造の描出については,HRCTと比べ,車載型CT,conventional CTでは明らかに劣っており,特に車載型CTではさらに劣る傾向が示唆された.車載型CTは小型肺癌の検出を目的とするスクリーニングには優れており,検診への応用が期待されるが,車載型CTで検出された異常所見については,HRCTでの精密検査が不可欠であると思われた.
索引用語:Lung cancer, Mass screening, CT screening, Mobile CT, High resolution CT

受付日:1999年8月13日
受理日:1999年9月16日

肺癌 39 (6):835─842,1999

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