タイトル
第39巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

胸部CT検査で発見された多発性肺野型の肺腺癌3例の検討

田中 学1, 山田 耕三1, 野田 和正1, 前原 孝光2, 亀田 陽一3, 山木戸 道郎4
1神奈川県立がんセンター内科第3科, 2同 外科第1科, 3同 検査第1科, 4広島大学第2内科

CT検診の導入や画像診断の進歩により,原発性多発肺癌,特に微小な肺野の多発病変に遭遇することが稀ではなくなっている.今回,我々は胸部CT検査を契機に発見された肺野型の多発肺腺癌を3例経験した.症例1は,画像的には左下葉の2個の小腫瘤影であり,病理学的には野口分類のtype Cとtype Aの腺癌と数個のAAHであった.症例2は,右上葉の2個の含気型腫瘤影であり,病理学的には細胞密度などの異なるtype Bの腺癌と16個のAAHであった.症例3は,左上葉に2個の充実性腫瘤影を認め,病理学的には双方が分化度の異なるtype Cの腺癌であった.いずれの症例も画像的にその形状の違いから多発肺癌が疑われ,病理学的にも多発肺癌と診断された例であった.術前に病理診断の得られたものは6病変中の1病変のみであり,CTを主体とする画像診断が手術の最大の根拠であり,肺野の微小病変に対する診療の進め方に画像診断の重要性が示唆された例であった.
索引用語:Synchronous multiple primary lung cancers, Peripheral small adenocarcinoma, High-resolution CT diagnosis, Noguchi's histological classification of small adenocarcinoma

受付日:1999年5月11日
受理日:1999年7月15日

肺癌 39 (6):849─855,1999

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