タイトル
第39巻第6号目次 Japanese/English

─ 症例 ─

脳転移で発見され16年間生存している異時性肺多発癌の1例

山崎 明男, 益田 貞彦, 大瀬 良雄, 田原 稔, 中原 和樹, 薬丸 一洋
東京逓信病院第2外科, 同 病理

症例は75歳(第2肺癌時),男性.1982年6月に左小脳腫瘍で腫瘍摘出術を施行され,転移性脳腫瘍,腺癌と診断された.原発巣の検索を行ったが,当時は不明であった.術後4年目に胸部X線,CT上,右上葉に辺縁不整な腫瘤影を認めた.1986年9月,右上葉切除術+R2aを施行した.病理で腺癌と判明し,先の脳腫瘍は肺癌の転移と診断された.肺癌切除11年後の1997年1月,胸部CT上,両下肺野に限局性の間質性肺炎像を認め,追跡していたが,10月左下肺野の陰影に変化を認め,精査入院となった.エコー下針生検の結果,扁平上皮癌と診断された.1997年11月17日,呼吸機能上の問題から左S6区域切除術を施行した.術後合併症なく,現在脳腫瘍手術後16年経過しているが,再発なく生存中である.
索引用語:Multiple lung cancer, Metachronous lung cancer, Metastatic brain tumor, Long-term survival

受付日:1999年4月20日
受理日:1999年7月19日

肺癌 39 (6):871─876,1999

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