タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

特発性間質性肺炎(IIP)合併肺癌における肺癌治療に伴うIIP急性増悪の検討

竹中 圭1,2, 吉村明修2, 岡野哲也1,2, 清家正博2, 神尾孝一郎1,2, 植松和嗣2, 渡辺秀一1, 長谷川浩一1, 渋谷昌彦2, 工藤翔二2
1慈山会医学研究所附属坪井病院内科, 2日本医科大学第4内科

特発性間質性肺炎(IIP)合併肺癌症例における肺癌治療によるIIPの急性増悪についての検討を行った.化学療法後23例中2例(8.7%),外科療法後14例中2例(14.3%),放射線療法後8例中2例(25%)にIIPの急性増悪が認められた.治療前の検査所見で血清CRP値が,急性増悪群は5.12±2.27 mg/dl,非増悪群は2.26±2.29 mg/dlで急性増悪群が有意に高値であった(P<0.05).一方,ESR,LDH,WBC,PaO2,%VCには有意差は認められなかった.切除肺におけるIIPの活動性の組織学的評価で,急性増悪例と非増悪例に明らかな差は認められなかったが,急性増悪例に組織学的に活動性と思われる症例が存在した.肺癌治療後IIPが急性増悪した6例中5例は3ヵ月以内に死亡した.IIP合併肺癌症例の肺癌治療は,新しいIIPの活動性のマーカーや経気管支肺生検などを用い,IIPの活動性のより正確な評価の上に行うべきと考えられた.
索引用語:Idiopathic interstitial pneumonia (IIP), Lung cancer, Acute exacerbation

受付日:1999年3月24日
受理日:1999年9月16日

肺癌 39 (7):955─962,1999

ページの先頭へ