タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

縦隔腫瘍に対する超音波ガイド下針生検の有用性

藤井 宏, 高倉 俊二, 西村 尚志, 長谷川 幹, 岡崎 美樹, 片上 信之, 石原 享介, 梅田 文一
神戸市立中央市民病院呼吸器内科

縦隔腫瘍に対する超音波ガイド下針生検(UGNB)の有用性を当科入院症例で検討した.対象は1995年4月から1998年4月の間に当科に初回入院した縦隔腫瘍の31例.病変が超音波で確認されたのはうち18例.前縦隔が最も多く15例であった.18例中3例では安全な穿刺が困難と判断し,UGNBを行わなかった.各生検時の穿刺回数は平均3.2回であった.UGNBを施行した15例中,確定診断が得られた症例は9例(60.0%)であった.悪性リンパ腫と胸腺癌の各1例では吸引細胞診でもclass Vと診断された.嚢腫の3例と胸腺腫7例中3例では,UGNBによる確定診断は得られなかった.合併症は2例で生じたが,一過性なものであった.結論として,嚢腫や胸腺腫の一部では診断がつかない場合もあったが,UGNBは概して安全で容易に施行でき,有用と考えられた.
索引用語:Ultrasonically guided needle biopsy, Mediastinal tumor

受付日:1999年5月24日
受理日:1999年10月12日

肺癌 39 (7):981─985,1999

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