タイトル
第39巻第7号目次 Japanese/English

─ 原著 ─

間質性肺炎を合併した肺癌手術症例の周術期管理に関する検討

土田 正則, 大和 靖, 相馬 孝博, 吉谷 克雄, 青木 正, 渡辺 健寛, 橋本 毅久, 篠原 博彦, 林 純一
新潟大学第2外科

間質性肺炎を合併した肺癌切除例の周術期管理の問題点を明らかにするために自験例8例についてレトロスペクティブに検討した.背景では男性の重喫煙者症例が多く,肺活量,1秒率は保たれていたが拡散機能の低下を認めた.術前間質性肺炎は明らかな活動期の症例はなかった.手術は標準手術4例,拡大手術2例,縮小手術2例で手術侵襲と術後合併症の間に関連を認めなかった.8例中1例で術後間質性肺炎の急性増悪と考えられる症例を経験したがステロイドパルス治療で改善した.間質性肺炎の急性増悪を術前状態,手術侵襲から予測する事は困難と考えられた.特発性間質性肺炎を合併した肺癌の手術にあたっては 1)間質性肺炎の活動性評価 2)症例に応じ適切な術式を選択する 3)使用酸素濃度,投与量は最小限にする 4)術後呼吸状態の変化を早期にとらえることが重要である.以上に留意し積極的に手術する事が間質性肺炎を合併した肺癌の治療上重要である.
索引用語:Interstitial pneumonia, Lung cancer, Surgery, Complication, Acute exacerbation

受付日:1999年5月19日
受理日:1999年11月9日

肺癌 39 (7):987─994,1999

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