第39巻第7号目次 | Japanese/English |
─ 原著 ─
肺腺癌の組織学的構築による分類と臨床病理学的因子,p53蛋白発現および細胞増殖能との相関
山崎 正弘1,2, 武島 幸男1, 藤井 誠志1, 井内 康輝11広島大学第2病理, 2同 第2内科
外科的切除を行った最大径3 cm以下の末梢肺に発生した腺癌107例を対象として,Noguchiらの分類に従って組織学的構築に基づいた分類を行い,年齢,性別,病期,リンパ節転移の有無などの臨床病理学的諸因子ならびにp53蛋白の発現,Ki-67のlabeling index(L.I.)からみた増殖能との関連を探ることを試みた.Noguchiらの分類によるA,B,C,D,E,F型の症例数はそれぞれ4,19,46,19,8,11例であった.組織型と年齢に相関はなかったが,性別ではD型では圧倒的に男性が多いという特徴があった.リンパ節転移は,A,B型には認めず,C型には28%,D,E,F型ではそれぞれ53%,50%,45%に認めた.p53蛋白発現の陽性例はA,B,C,D,E,F型でそれぞれ0,26,43,58,63,45%であった.Ki-67のL.I.の各組織型別の平均値はA,B,C,D,E,F型でそれぞれ3.4,5.0,12.4,29.4,22.8,17.7%であった.
索引用語:Adenocarcinoma of the lung, Noguchi's classification, Clinicopathological factors, p53, Ki-67
受付日:1999年8月11日
受理日:1999年11月18日
肺癌 39 (7):995─1000,1999